中学受験の過去問において、「相性」ということがよく言われます。
相性というと、「良いか悪いか」という二択で考える方も多いでしょう。
しかし、相性は「良いか悪いか」ではなくて、「合わせるか諦めるか」なんです。
良い・悪いもありますけど、より大事なこと、本質的なことは、合わせるか諦めるかです。
私・川口は家庭教師をしていまして、生徒の過去問も何度も見てきました。
相性を合わせていくために生徒と一緒に頑張って、そして実際に合格していっています。
私の経験も踏まえて、相性が悪いと思った場合でも諦める必要がないということを述べていきます。
そして、どうやって合わせていくか、ということも述べていきます。
この記事の主な対象
- 「過去問の相性が悪いから、諦めた方が良いのかな?」という方
- 「偏差値が高ければ、合格できるよね」という方
- 「相性が悪い学校の全部に対策するのは大変だな…」という方
中学受験の合否は過去問への相性の良い・悪いで決まらない
中学受験において、過去問に取り組むと、点数がよく取れることもあれば、あまり取れないこともあります。
偏差値が十分足りているはずでも、点数が取れないこともあります。
一方で、偏差値が足りていないのに、点数はある程度取れるということもあります。
同じ人が解いているのに、どの学校の過去問を解くかによって大きく変わることは珍しくありません。
そして、点数が取れたら相性が良い、点数が取れなければ相性が悪いと思いがちですよね。
「相性が良い学校だから受かりそうだ」、「相性が悪い学校だから厳しそうだ」、と考える方もいらっしゃるでしょう。
気持ちはよく分かります。
しかし、そもそも、入試は相性が良いか悪いかを問う試験ではありません。
何年も勉強してきたのに、相性の良し悪しで合否が決まるのだとしたら、あまりにも理不尽だと思いませんか。
せっかく志望校に向かって頑張ってきたのに、「相性が悪いから厳しいです」ということがあるのだとしたら、残酷な話です。
「相性が悪いと分かっていたなら、その学校を志望しなかったのに」と思う人もいるでしょう。
相性が悪いなら、その学校の情報を集めていた時間は何だったのか、と思ってしまう人もいるでしょう。
過去問の相性というのは、そこまで厳しい現実を突きつけるものではありません。
確かに、問題を解いてみて、「偏差値が足りていなくてもこの学校は点数が取れるな」ということはあります。
反対に、偏差値では足りているのに合格点に届かないこともあります。
学校によって、点数が取りやすい学校もあれば、取りにくい学校があることは珍しくありません。
しかし、あくまで「合わせやすいかどうか」というだけです。
点数が取りやすい学校であれば、「合格に向けて合わせていきやすい」ということにはなります。
一方で、「この学校はあんまり取れないな」という場合であっても、合わせることさえできれば十分合格できます。
偏差値が足りなくても、最終的に合格点が取れることもあるわけです。
そもそも偏差値が高ければ受かりやすいとは限りません。
模試で高い偏差値を取って、例えば「合格可能性80%」だとしても、10回受けたら8回受かるという意味ではありません。
合格可能性80%というのは、10人受けたら8人受かるということです。
言い換えると、「10人のうち8人が合わせられる」ということです。
裏を返すと、「10人のうち2人は合わせられない」ということにもなります。
合格可能性80%だとしても、その中には合わせられない人が出てきます。
偏差値が足りているのに点数が取れないということは、不思議なことではありません。
点数が取りやすい学校もあれば、点数の取りにくい学校もあるので、それを相性が良い・悪いということはできるでしょう。
しかし、相性が良いか悪いかは大した問題ではないんです。
人によっては、合わせる必要がないぐらい相性が良い学校もあるかもしれません。
とはいえ、偏差値が全然足りないのに何もしなくても合格点が取れるぐらい相性が良いのは、極めて限定的なケースです。
また、どこを受けるか迷ったときには、点数が取りやすそうな方を優先するという方法もあるでしょう。
確かに、迷った場合に一番合わせやすそうな学校を選で受けるというのは、悪いことではありません。
しかし、受けたい学校が決まっている場合には、「相性が良いから受ける」、「相性が悪いから受けない」という選択肢はありません。
「合わせる」か「諦める」かしかないんです。
過去問の相性は、「合わせるか、諦めるか」
過去問の相性は、合わせるか、諦めるかの二択です。
「二択だ」というのも大事なことなんです。
「合わせるしかない」わけではありません。
諦めるというのも立派な選択肢の一つです。
合わせるというのは、過去問などを解いて、対策をしてまた解く、という様々な方法を繰り返すことです。
繰り返しによって、志望校に学校に受かりやすくするということですね。
受かりやすくしようと思えば、もちろん努力が必要ですし、そのために時間も取られますし、ストレスが増える面もあります。
受けたい学校の全てに合わせていくのは、大変な作業が必要になってきます。
そもそも、いくつも合格したとしても、進学できる学校の数は一つです。
全部の学校に合わせるのではなくて、一つや二つを諦めることによって、他に集中して合わせることができます。
合わせるしかないのではなくて、合わせるか、諦めるかの二択なんです。
諦めるという選択肢も、守りではなく、他に受かるための攻めの選択、積極的な選択です。
では、実際にどうやって合わせていくのでしょうか。
過去問の相性を合わせる方法
合わせていく前提として、相性が生まれる原因を考えてみましょう。
学校によっては、点数が良く取れることもあれば、あまり取れない学校もある、その原因は何でしょうか。
相性の要因は一つではなくて、いくつもの要素が複雑に絡み合っています。
主な要素をざっと一覧にすると、このようになります。
- 出題分野
- 難易度
- 問題数
- 知識問題と現場思考
- 時間配分
- 問題の順番
- 記述の量
- 字数制限
他にも要素はありますけど、あくまで主な要素を挙げてみました。
出題分野というのは、例えば、ある学校では図形の問題が良く出る、ある学校では速さの問題が良く出るということがあります。
難易度というのは、難しい問題が多く出る学校もあれば、易しい問題が多く出る学校もあります。
知識を問う問題が多く出る学校もあれば、図表などから考えないと解けない問題が多く出る学校もあります。
また、学校によっては時間配分を強く意識する必要がある場合もあれば、時間に比較的余裕がある学校もあります。
問題の順番も、最初が易しめで後半にかけて難しくなっていく学校もあれば、途中に難しい問題が入ってくる学校もあります。
選択問題が多い学校もあれば、記述問題が多い学校もありますよね。
記述問題の中でも、短い記述問題もあれば、200字を超えるような大型記述というようなものもあります。
字数ではなくて、二行の中で自由に書く、というような学校もあります。
学校によって入試問題というのは、様々なものがあります。
各学校が、どういう生徒に来て欲しいかと考えて、工夫して作った結果として出てくる違いです。
そして、入試問題が違うと、求められる力も若干違ってくることになります。
例えば、字数制限がある学校であれば、字数に合わせて短い言葉に言い換えるなどの必要が出てきます。
一方で、字数制限がなくて、二行や三行に自由に書くというような形式なら、字数に合わせて言い換える力は求められません。
学校に合わせていくということは、過去問を通じて求められる力を発揮できるように努力していくということです。
受ける学校が違えば、当然対策も違います。
しかし、同じ学校を受けるとしても、人によって対策に違いがあります。
過去問を解いてみると、人それぞれ弱点となる部分が見えてきます。
苦手な部分をカバーするという戦略もあれば、得意な部分を伸ばしていくという戦略もあります。
学校に合わせるという観点からは、より大事なのは、苦手な部分をカバーするという戦略でしょう。
例えば、知識問題は得意だけど、現場で考えて解くような問題が苦手だというのが、過去問で分かったとします。
苦手だと分かれば、現場で考えて解く問題について、訓練していくことになります。
過去問に取り組むことだけで足りなければ、他の問題に取り組むことも効果的です。
市販の教材や、もちろん塾の教材などを使っても構いません。
また、受験しない学校の過去問に取り組むことも効果的です。
例えば、有名中(有名中学入試問題集)、銀本(中学入学試験問題集)という問題集から探してみるのもお勧めできます。
四谷大塚の過去問データベースでしたら、無料で問題を見ることができるので、こちらも便利でしょう。
ちなみに、銀本の使い方については、こちらの記事をご覧ください。
1点をもぎ取るために、細かい作業や工夫が必要なこともありますから、小学生が自分で進めるのは難しいことも多いです。
受験しない学校の過去問を解く場合であれば、どの学校の過去問を解くべきか分からないこともありますよね。
また、解いてから解説を読んでも分からないことや、解説がないこともあります。
現場で考えて解くような問題が苦手だという例で述べましたけど、そもそも何が苦手か分からないこともあります。
家庭教師がいる場合には、一緒にやっていくことができます。
塾に通っているのであれば、学校別の講座があれば対策しやすいですね。
学校別の講座を受けて頑張っていけば、必然的に合わせていくことになることが多いでしょう。
学校別の講座がなくても、過去問を解いた答案を先生に見てもらえば、アドバイスを貰えることも多いです。
また、受験しない学校についても、どの学校の問題を解くかということや、分からない問題を教えてもらうなどもできます。
周りの大人とも協力することで、合格に近付けていくことができます。
戦略を練って、どうすれば合格しやすいかというのを考えて対策を実行していくことこそが、合わせていくということです。
そして、また過去問を解いて、合格までの距離を測って、そこを埋める努力をする、この繰り返しです。
まとめ
入試は、相性が良ければ受かるものでもありません。
過去問を受けて、相性が良い・悪いという印象を持つ方もいらっしゃるでしょう。
しかし、過去問の相性は、合わせるか、諦めるかの二択です。
全ての学校に合わせるのは大変なので、諦めるのも選択肢の一つです。
受験する学校によって、出題される問題が異なります。
合わせるためには、過去問を通じて、弱点などを把握して補っていくことが必要です。
最終的に、合格か不合格かは、どれだけ合わせられたかで決まります。
偏差値順に受かっていくわけではありません。
偏差値が高ければ合わせられるとも限りませんし、偏差値が低ければ合わせられないとも限りません。
あくまで、偏差値が高ければ合わせやすい人が多い、偏差値が低ければ合わせにくい人が多いというだけです。
実際に合わせられる側に入るのか、合わせられない側に入るのかは、個人の様々な要素によって変わってきます。
合わせる側に入るための努力をするのか、それとも諦めるのか、受験生としてはその二択しかありません。
過去問で点数が取れないからと弱気にならず、点が取れるようにするための努力を考えましょう。
そして、考えたことを実施するか、それとも諦めるか、ということで前に進んでいきましょう。
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