日本には25件の世界遺産があります。
世界遺産が増えるたびにニュースでも話題になりますね。
世界遺産に登録されると何が起こるか、と考えたことがあるでしょうか。
世界遺産に登録されると何となく良さそう、というイメージを持っている人は多いでしょう。
しかし、世界遺産に登録されるのは、良いことばかりではありません。
メリットもあればデメリットもあります。
中学受験においても、世界遺産に登録されることのメリットやデメリットが出題されることもあります。
そこで、世界遺産に登録されると何が起こるのか、メリットとデメリットも紹介します。
私・川口は、中学受験を中心に家庭教師をしていますけど、旅行好きということもあって、世界遺産にも詳しいです。
世界遺産検定の2級も合格しているので、世界遺産と中学受験という観点から述べていきます。
この記事の主な対象
- 「世界遺産に登録されたら何が起こるか考えたこともなかった」という方
- 「世界遺産についてのニュースに触れたときに、深く考えられるようになりたい」という方
世界遺産のメリット・デメリットの前提
世界遺産に登録されると何が起こるか、ということから述べていきます。
そもそも、世界遺産は何のためにあるかというと、保護するためです。
世界遺産の登録の前提として、「顕著な普遍的価値」があることが必要とされています。
ちょっと言葉が難しいですよね。
普遍的価値ということは、ある国の中だけで価値があるということではありません。
人類全体にとって価値がある、しかも、現代だけではなく将来にわたって価値があるということです。
しかも、「顕著な」ということは、その価値が飛びぬけているということです。
飛びぬけている人類全体にとって共通の価値を守ろうとするのが世界遺産です。
つまり、世界遺産に登録されるということは、「この遺産は大きな価値がありますよ」と世界的に認められることでもあります。
守るための世界遺産ではありますが、登録されると誰かが守ってくれるわけではありません。
世界遺産に登録されると、まずはその遺産がある国に保護する義務があります。
世界遺産に登録されるメリット
メリットは、大きく分けて2つあります。
- 保護されること
- 観光客が増えること
詳しく述べていきます。
世界遺産に登録されるメリット① 保護される
世界遺産に登録されることの1つ目のメリットは、保護されることです。
世界遺産は保護が目的で、登録されると国が保護する義務を負うと既に述べました。
例えば、日本のある建物が世界遺産に登録されたと考えてみましょう。
そうすると、日本がその建物の形を大きく変える工事をすることは、基本的には許されないことになります。
多くの人が親しんでいる建物が、変わらずに保護されます。
また、もし傷つけば、修復などもすることになります。
大切なものがきちんと保護されて将来にわたって残っていくのがメリットです。
世界遺産に登録されるメリット② 観光客が増える
2つ目のメリットは、観光客が増えることです。
世界遺産に登録されると、「この遺産に大きな価値があります」と世界的に認められるとさ先ほど述べました。
大きな価値があるなら、実際に見てみたいと思う人が当然出てきます。
見に来る人が増える、つまり、観光客が増えることが大きなメリットになります。
世界遺産に登録されると、旅行会社ではツアーが組まれるのが定番になっています。
世界遺産そのものを訪れるツアーだけではなくて、周辺の地域を訪れる人も増えます。
観光客が集まるということは、お金を使ってくれるということです。
ホテルにお金を使う場合もあれば、飲食店などでお金を使うこともありますし、お土産物なども含めて、色んな効果が出てきます。
世界遺産がある地域の経済に好影響があります。
また、例えば、人が多く来るのに備えて、道路が整備されることなどもあります。
実際に、2002年に白川郷インターチェンジというのができています。
インターチェンジというのは、高速道路に乗ったり下りたりすることができる場所です。
白川郷というと、世界遺産がありますよね。
「白川郷・五箇山の合掌造り集落」という世界遺産が、1995年に登録されています。
世界遺産に登録されたことよって、インターチェンジを作ることで交通の便が良くなりました。
新しくインターチェンジができると、もちろん観光に訪れる人がお金を使ってくれるというメリットはありますけど、それだけではありません。
地元の人たちの、普段の生活も便利になります。
ちょっと遠くに出かけるときにも、そのインターチェンジから高速道路に乗れば、色んな場所に行きやすくなります。
観光客が増えることは様々なメリットをもたらします。
その反面、世界遺産に登録されることのデメリットもあります。
世界遺産に登録されるデメリット
世界遺産に登録されることのデメリットは、大きく分けて2つあります。
- 保護されること
- 観光客が増えること
あれ、メリットと同じじゃないかと思った方もいらっしゃいますよね。
そうなんです。
この二つは、メリットにもなれば、デメリットにもなるんです。
詳しく述べていきます。
世界遺産に登録されるデメリット① 保護される
まず、一つ目のデメリットは、保護されることです。
繰り返し述べていますけど、日本に世界遺産が登録されると、日本が保護する義務を負うことになります。
ユネスコが保護してくれるわけではありません。
保護する義務を負うということは、工事などをする際にも制約がでてくるということです。
開発をしようと思ったときに、世界遺産を破壊しないように、と常に気を付けないといけません。
気を付けないと、世界遺産から登録を外されてしまうこともありますからね。
実際に、「ドレスデン・エルベ渓谷」という世界遺産は、橋を作ったことによって世界遺産から抹消されてしまいました。
世界遺産であるからこそ、橋を作りたくても作れないということも起こり得るわけです。
保護されるのはメリットでもありますけど、考え方によってはデメリットにもなるわけです。
世界遺産に登録されるデメリット② 観光客が増える
そして、二つ目のデメリットは、観光客が増えることです。
観光客が増えると、特に色んな国の人たちが集まることがあります。
国によって文化も様々ですから、色んな問題が起こり得ます。
例えば、世界遺産を見に行ったときに、何かお菓子を食べたら、袋をポイっと捨ててしまう人も出てくるわけです。
世界遺産に登録されたことによって、ゴミが増えてしまうということが起こり得ます。
ゴミが増えると、環境問題にも繋がりますから、ゴミ問題というのは世界遺産と切り離せない大きな問題です。
また、人がたくさん集まるということは、道路が渋滞することもあります。
先ほども述べた白川郷インターチェンジのように、道路が整備される場合は良いのですが、必ず整備されるわけではありません。
整備されるとしても、時間がかかることもあります。
白川郷インターチェンジも、できたのは世界遺産登録から7年後でした。
人が多く集まって渋滞が起きると、地元の人が買い物に出かけるときなども、すごく不便になるわけです。
観光客が増えるというのも、良い面ばかりではなく、デメリットにもなるわけです。
まとめ
世界遺産というのは、人類全体にとって大きな価値があるものを保護するためのものです。
その結果、保護されると同時に、価値があることが世界全体にアピールされることになります。
- 保護される
- 観光客が増える
2つの点がメリットにもなりますし、デメリットにもなります。
もちろん保護されて時代が変わっても同じ建物が残されるのはメリットでもありますけど、その代わり開発に制限が加わります。
観光客が増えてお金を使ってくれるのはメリットではありますけど、その代わりゴミ問題などが出てくることがあります。
世界遺産に登録されることは、メリットもあれば、デメリットもあります。
世界遺産に登録されましたというニュースを聞くと、すごくおめでたいことと思いがちですよね。
しかし、おめでたいことであっても、デメリットもあって、それも小さな問題ではない、ということは意識しておきたいですね。
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