中学受験の過去問を解いていると、算数で途中の計算などを書くことが求められることがあります。
算数の記述は、正解までたどり着けない問題であっても1点2点をもらえる可能性があるんです。
簡単に分かることを書くだけでも、部分点の配点が期待できます。
「式を書いて1点2点を取りに行きませんか?」というのがお伝えしたいことです。
具体的な入試問題を使って、「何を書けば1点もらえるか」、「難しい問題でも1点を取るのは難しくない」、ということ述べていきます
私・川口は家庭教師をしていますけど、1点2点の部分点を取れないお子さんを多く見てきました。
本格的に過去問に取り組むようになって、算数の解答欄が白紙になっているのをよく見ます。
もちろん、全く分からないなら仕方ないです。
しかし、分かっているのに書いていないということがよくあるんです。
お子さんにとっては、解答欄に式や図表を書くということ自体が難しいことでもあるんです。
難しい問題でも、簡単に1点2点を取る方法や、式を解答欄に書くことの大切さをお伝えします。
そもそも何のために式を書かせるか、ということもお伝えします。
この記事の主な対象
- 「算数で式がいつも空欄になっている…」という方
- 「何を書けば部分点がもらえるのか分からない…」という方
- 「部分点なんて、1点や2点だけだから、そんなに重要ではないよね?」という方
算数で途中式の記述は2種類!?
解答欄に式や図表を書くことがいかに大切か、ということから述べていきます。
意外とこれを分かっていないお子さんが多いんですよね。
そもそも、算数に記述式の問題がなぜあるかを考えてみてみましょう。
私は、大きく2種類あると考えています。
1つは、きちんと理解しているかどうかを見るための問題です。
算数のテストでは、答えだけを書くものも多いですけど、答えだけでは解いた方法が分かりませんよね。
答えは合っていても、解き方が合っているとは限りません。
例えば、簡単な例であれば、
10+29-6
という計算が問題を解く過程で出てきたと考えてみましょう。
正しく計算すると、
10+29=39
39-6=33
となります。
ところが、
10+29=38
38-6=33
というように、計算ミスを2回することで、結果的に運よく正解する場合もあります。
中には、適当に書いた数字が運よく当たっただけという場合もあります。
つまり、正しい答えにたどり着いても、解き方が不適切な受験生と、きちんと解き方まで合っている受験生がいます。
解き方によって点数にも差をつけたい場合に、式を書かせる問題が出されるというのが1つ目の種類です。
もう1つは、理解度に応じて点数に差をつけるための問題です。
完璧に理解している人と少し理解している人に差をつけることもできます。
しかし、より重要なのは、全く分からなかった人と、少しでも分かった人に点差をつけることです。
答えだけを書く問題であれば、全く分からない人と、少しでも分かった人はいずれも不正解になってしまいます。
理解度に差があるにもかかわらず、答えにたどり着かなければ0点となって点差がつきません。
少し分かった人がかわいそうだから、1点でもあげたいということで、記述式にしてあるわけです。
2種類ある算数の記述のうち、特に強調して述べたいのは、2つ目の、理解度に応じて点数に差をつけるための問題です。
問題を出している側が、
「1点あげますよ」
という気持ちで出しているわけです。
「難しいから正解までたどり着くのは難しいかもしれませんよね」
「それでも何か分かったことがあるなら1点あげますよ」
という問題なんです。
「1点あげますよ」
と言われているんですから、少しでも分かっていることを書いて、1点をもらってください。
「あげますよ」
と言ってくれているんだから、それをもらいましょう。
1点の積み重ねで合格に近付いていきます。
合格したいと思ったら、1点でも取りにいくことが大切です。
取れるはずの1点を取りにいかないのは、
「合格したくない」
と言っているようなものです。
「合格したくない」と言っている答案を採点したら、当然不合格になります。
入試は1点で合否が分かれると思った方が良いです。
その学校を志望する人達だけが受験するので、力の差はないんです。
1点を取りにいくのが、とても大切です。
もちろん、全部完璧に正解するのが一番良いです。
しかし、全部完璧に正解するなんて普通は無理ですし、その必要もありません。
1点でも多く取れるものを確実に取っていけば、合格に近付いていきます。
算数で答えが分からなくても記述して部分点を取る
問題を解いていて、
「あー全然分からないな」
と思ったときは、もちろん一旦後回しにするのは一つの方法です。
中には、完全な捨て問もあります。
しかし、
「本当に全然分かりませんか?」
ということを伝えたいんです。
難しい問題であっても、何か少しだけ分かるということはありますよね?
例えば、速さなら、
「追い越した時刻が何時何分かは分からないけど、速さが分速何mかは出せるぞ」
数列であれば、
「100番目がどうなっているかは分からないけど、10番目までなら書けるぞ」
面積の問題なら、
「全体の面積は分からなくても、ここの三角形の面積だけなら出せるぞ」
というように、何でも良いんです。
何か少しでも分かることがあるなら、それを解答用紙に書いてください。
解答用紙に書く、ということが大事です。
問題を見たら計算の跡が残っているのに、解答用紙を見たら真っ白ということもあります。
解答用紙が真っ白であれば、絶対に点はもらえません。
問題に書いたその計算を、解答用紙に書いておけば、1点がもらえるかもしれません。
そう言うと、
「こんなこと書いても点がもらえるとは思わなかった」
「こんなこと書いてもしょうがないと思った」
という人もいます。
書いたもの点になるかどうかは、採点する人が決めることです。
あなたが決めることではありません。
勝手に決めないでください。
何でもいいんです。
とにかく分かったこと、計算したことを少しでも解答用紙に残すことが大切です。
「こんなの当たり前だ」と思ったとしても、書いてください。
書かないと、「当たり前のことさえ分かっていないんだな」と採点されてしまいます。
解答欄に何も書かなかったら、何も分かっていない人と同じになってしまうんです。
簡単なことであっても、少しは分かるということもありますよね?
だったらそれを書きましょう。
採点する人は、答案だけを見ます。
あなたの頭の中は分かりません。
何も書いていなければ、何も分かっていないんだなと思って採点します。
難しいことを書いて1点取ろうという話ではないんです。
簡単なことを書けば1点もらえる可能性があります。
とはいえ、実際に何をどの程度書けば1点もらえるのか分からないという方もいらっしゃるでしょう。
実際の入試問題を使って、こんな簡単なことを書くだけで1点もらえるかもしれない、ということを紹介します。
具体的な算数の入試問題での記述と部分点の例
藤嶺学園藤沢中学校(2021年2月1日午前)の問題を引用します。
ご存じない方も多いでしょうから説明しておきますと、藤嶺藤沢の算数では、例年大問が5つ出題されます。
そして、大問1~大問3は答えのみを書く形式で、大問4と大問5が途中式も書く形式です。
つまり、問題によって、答えのみを書くのか、途中式も書くのかを分けています。
きちんと理解しているかどうかを見るための問題ではなくて、理解度に応じて点数に差をつけるための問題として出題していると考えられます。
わざわざ問題によって形式を変えているわけですからね。
藤嶺藤沢で、途中式を書く形式で出題された問題を、部分点を取るための例として取り上げます。
問題はこちらです。
「次の問い」として、(1)と(2)が続きます。
解ける人もいれば、解けない人もいるでしょうが、あくまで部分点がテーマです。
問題が解ける場合には、そもそも部分点というより、解き方を伝えるために途中式を書くことになります。
そうではなくて、問題が解けなかった時には、少しでも式を書いて部分点を取りにいくということです。
基本的な通過算という速さについての問題なので、藤嶺藤沢を受験するお子さんなら、本当は正解したい問題ではあります。
しかし、あくまで分からない問題に出会ったときにどうするか、という観点で述べていきます。
それでは、まずは、(1)を見ていきましょう。
仮に、この問題が分からないとしましょう。
「解き方が分からなくても、できることはありませんか?」
というのを考えてもらいたいんです。
通過算を一回も習ったことがなくても、それどころか速さを習ったことがない人でさえ、できることがあるんです。
問題文に、
「1両20mの車両がつながっています。15両の列車Aが、」
と書いてありますね。
ここまで読んだ時点で、何かわかることはありませんか?
列車の長さだけは分かりませんか?
20mが15両なので20×15という計算になるというのは、分かる人が多いでしょう。
だったら列車の長さを解答欄に書きましょうよ。
列車の長さすらも書かなかったら、
「あーこの子は列車の長さも分からないんだな」
と思われちゃうんですよ。
そんなの悔しいですよね。
何も分かっていない人とは違いますよね。
だったら、「分かっていますよ」と伝えましょう。
書かないと伝わりませんからね。
「列車の長さなんて当たり前のことだから、書いても意味がない」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、書いても意味がないかどうかを判断するのは、あなたではなくて、採点者です。
とにかく分かったことは書きましょう。
「列車の長さしか分からないから書けなかった」じゃなくて、列車の長さを書くんです。
「列車の長さしか分からないから」というなら、列車の長さだけでも良いから書きましょう。
また、例えば、列車の長さが300mになることは分かって、そこから先が分からないとしましょう。
その場合でも、列車の長さをkmに変えることはできませんか?
答えが時速何kmで、最終的にkmにする必要があるんだから、kmにするだけでも答えに近付いているということになります。
実際にそれで1点がもらえるかどうかは分かりませんけど、書いておけば1点もらえる可能性があります。
分かることを書いておきましょう。
(2)は、
という問題です。
(1)はできたけど、(2)の答えは出せないという人もますよね。
しかし、(1)で速さが分かっているのなら、10秒で進んだ距離は分かりませんか?
(1)で速さが分かっていなくても、(1)の速さ÷3600×10という計算の方法だけでも分かる人もいるでしょう。
「(1)の速さ÷3600×10」と書いておけば、点数がもらえる可能性もゼロではありません。
(1)の速さが分からないから諦めるのではなくて、とにかく分かることを書きましょう。
ただ、これはあくまで1点2点を取るという話です。
もう少し時間をかけたら解けそうな問題があるなら、そちらに時間使う方が良い場合もあります。
あくまで、時間があるなら、もしかしたら1点がもらえるかもしれないということに使った方が良いということです。
まとめ
中学受験の算数での記述には2種類あると考えています。
- きちんと理解しているかどうかを見るための問題
- 理解度に応じて点数に差をつけるための問題
中でも、「理解度に応じて点数に差をつけるための問題が特に重要だと考えています。
答えが分からない問題でも、簡単なことだけでも解答用紙に記入してください。
1点がもらえる可能性がありますし、1点を積み重ねることで合格に近付きます。
実際の入試問題も使って述べましたが、紹介したことはあくまで一つの例です。
実際にこれで1点もらえるかは分かりません。
しかし、書いておけば1点もらえる可能性があります。
書かなければ絶対にもらえません。
そして、簡単なことを書くのはほとんど時間も要りませんから、リスクもほぼありません。
実際に自分から受ける学校では、何をどこまで書けば1点もらえるか分からないということはありますよね。
そんなの考える必要ないんです。
迷ったら書く、思いついたことは全部書く、書こうかどうかなんて考えずに、とにかく全部書くぐらいで良いと思います。
ただし、計算が複雑になって式がたくさん出てくる場合は、整理して書く必要が出てくることもあります。
あくまで、解けないときに少しだけ分かったときは、全部書きましょうということです。
気になる場合は、
「これを書いたら1点もらえますか」
ということを塾の先生などに相談するのは良いと思いますよ。
過去問を通じて、少しでも点数を取る練習をしていきましょう。
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また、私は家庭教師をしております。
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