そろばんを学習すると、計算力・暗算力が身につきます。
ところが、「そろばんは中学受験に弊害があるのではないか」と心配されることもあります。
確かに、そろばんには気を付けておきたいデメリットもあります。
せっかくそろばんを学習したのであれば、中学受験にマイナスになることは避けたいですよね。
私・川口は、気を付けさえすれば、そろばんの弊害は小さく、中学受験にはとても役立つと考えております。
私自身も、そろばんを経験して中学受験をしまして、そろばんがとても役立ったと実感しております。
私は、タブレットでそろばん式暗算を身に付ける「そろタッチ和泉多摩川校」の教室長をしております。
加えて、家庭教師として、そろばん経験のある中学受験生とも接してきております。
私の経験も踏まえて、そろばん学習が中学受験に与える弊害や、その解決策について述べていきます。
この記事の主な対象
- 「うちの子がそろばんを習っているけど、中学受験に向けて役立つのか不安。そろばんの影響について知りたい。」という方
- 「そろばんは好きだけど、他の勉強に影響が出るか心配。中学受験に向けてどう対策すればいいのかな?」という方
- 「そろばんを始めさせようか迷う。中学受験にどんな影響が出るか知りたい。」という方
そろばんの中学受験における弊害とは?
そろばんの中学受験における弊害について、以下のポイントから説明してきます。
- 計算の工夫が苦手になる?
- 規則性の問題(数列や日歴算など)が苦手になる?
- 図形や文章題、思考力が身につかない?
- 筆算が苦手になる?
- ミスが増える?
そろばんの中学受験における弊害①計算の工夫
計算の工夫は、そろばん経験者にとっては、すごく注意が必要な部分です。
中学受験の計算では、分配法則などの様々な計算の工夫を活用します。
本来、計算の工夫は、計算が楽にするためのものです。
計算が楽になることで、間違いもしにくく、時間も短縮できるものです。
しかし、そろばんを学習していて計算力・暗算力がある場合には、工夫をしなくても計算ができていまいます。
計算の工夫を習ったときに、
と軽視してしまい、工夫をせずに解こうとすることがあるんです。
工夫をしなくても計算ができるので、そう考えるのも無理もありません。
また、計算を工夫しなくても、ずっと受験まで計算で困らないのであれば、何も問題ありません。
しかし、実際には、難しい問題が出てくると、工夫しないと対応できないことがよくあります。
入試が近づいていて、難しい問題が出てきたときに、初めて計算の工夫の大切さを実感することがあります。
ですが、難しい問題になってから練習を始めたのでは、身に付けるもの大変です。
簡単な問題のうちから練習することが大切です。
計算を楽にするための手段ではなく、あくまで、将来難しい問題が出てきたときのための練習として取り組みましょう。
そろばんの中学受験における弊害②規則性
中学受験では、数列や、何月何日が何曜日かを求める日歴算なども定番の問題です。
数列や日歴算についても、計算力・暗算力がある場合には、どんどん数字を書いていく「ごり押し」でできてしまいます。
計算の工夫と同じように、数字が大きくなると対応できないことや、ミスが増えることがあります。
ごり押しで答えを出すことができるとしても、簡単な問題のうちから、習った解き方でできるように練習するのが大切です。
そろばんの中学受験における弊害③図形や文章題
「そろばんを学習すると文章題や図形が苦手になる」というのは不正確です。
そろばんでは、文章題や図形に対応できません。
そろばんだけで対応できないのであれば、そろばんとは区別して文章題や図形の練習をすればいいだけです。
そろばんが文章題や図形の邪魔をするのではなく、「そろばんさえ練習すれば算数ができる」と考えていると問題になるだけです。
そろばんだけでは思考力は身につきませんが、そろばんで身につく計算力・暗算力は思考力のベースになると考えております。
そろばんの中学受験における弊害④筆算
そろばん学習者は、筆算が苦手になる場合もあります。
計算力・暗算力があると、筆算の練習を軽視しがちだからです。
筆算しなくても計算ができるからこそ、筆算を丁寧に練習しようという意識が弱くなりがちです。
ところが、計算の工夫などと同じように、筆算ができないと困る場面もでてきます。
筆算は、本来は計算をするための手段にすぎません。
しかし、そろばん経験者で計算力・暗算力がある場合には、筆算の使い方を身に付けること自体を目的として練習しましょう。
そろばんとは区別して練習すれば問題ありません。
そろばんを練習していると筆算ができなくなるわけではなく、筆算の練習を軽視しているからできないだけです。
そろばんの中学受験における弊害⑤ミス
そろばん経験者は、計算が雑になってミスが増えることがあります。
そもそも、そろばんはスピード重視です。
「10問のうち8問か9問正解したらOK」という感覚でどんどん進めます。
しかし、中学受験の計算問題は、10問あれば10問正解したいものです。
少し頭を切り替えて、スピードを落として正確性を上げる練習をしていきましょう。
中学受験では、そろばんの上級や段位のような圧倒的な計算スピードまでは要求されません。
弊害があるから中学受験するならそろばんは学習しない方がいい?
と考える指導者もいらっしゃるようです。
しかし、私は、そろばんは中学受験にとても役立つと考えております。
弊害が大きくならないように気を付ければ武器となり、弊害に気を付けないとマイナスになるというだけです。
弊害が出ないように気を付けさえすれば、さほど心配する必要はありません。
具体的に、どのような面で役立つのかも述べていきます。
そろばんの中学受験での利点
そろばんの中学受験での主な利点について、以下のポイントから説明してきます。
- 計算力・暗算力
- 記憶力・集中力
- 本番力
そろばんの中学受験での利点①計算力・暗算力
やはり、そろばんといえば、計算力・暗算力が身につきます。
中学受験では、単純な計算問題はあまり出題されません。
それでも、様々な部分で計算は使います。
計算を学習する方法は様々ですが、そろばん上級者は電卓より早く計算できます。
しかも、単なる丸暗記ではないので、思考力の邪魔をしません。
計算力・暗算力があれば、暗記に頼る部分が小さくなるというメリットもあります。
中学受験の世界では、いわゆる3.14の段や平方数などを暗記に頼るように指導されることが多いです。
高度な計算力・暗算力があれば、暗記よりも正確に、速く計算ができます。
そろばんの上級者になれば、電卓よりも素早く計算できるので、わざわざ暗記をする必要がありません。
暗記にかける労力を他のことに使えます。
そろばんの中学受験での利点②記憶力・集中力
暗算では、頭の中でそろばんの珠をイメージしながら計算するので、記憶力の向上が期待できます。
そして、限られた時間の中で、数多くの問題を正解するために、集中力も身につきやすいです。
記憶力や集中力は、あらゆる勉強で役立ちますから、中学受験においても有利になります。
そろばんの中学受験での利点③本番力
そろばんを学習すると、検定試験や大会という目標ができます。
本番に向けて調整し、本番で力を発揮するという経験を何度も積み重ねることになります。
本番に向けて調整することや、本番で力を発揮することは、中学受験での試験においても役立ちます。
私自身も、いつも検定試験や大会を目標に続けていたので、とても役立ったと実感しています。
まとめ:そろばんは中学受験に弊害をもたらす?
そろばんは、中学受験において、以下のような弊害をもたらすおそれがあります。
- 計算の工夫が苦手になる?
- 規則性の問題(数列や日歴算など)が苦手になる?
- 図形や文章題、思考力が身につかない?
- 筆算が苦手になる?
- ミスが増える?
しかし、弊害が出ないように気を付ければカバーできます。
そして、カバーをすると、そろばんは以下の点において中学受験でとても役立ちます。
- 計算力・暗算力
- 記憶力・集中力
- 本番力
と、中学受験の世界では、そろばん経験者を否定する指導者もいます。
しかし、私はそうは考えませんし、そろばんを経験したのであれば、それを中学受験で活かして欲しいです。
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