この記事の主な内容
- 途中式を書かない理由
- 途中式を書くことの目的
- 途中式を書けるようになる方法
お子さんが途中式を書かずに悩んでいる方は多いでしょう。
私・川口も、家庭教師として途中式を書かないお子さんを多く見てきました。
途中式を書かない原因は、多くの場合は、途中式を書く目的を理解していないことにあります。
途中式を書く目的を理解してもらうことが重要です。
途中式を書く目的とは、正解にたどり着くことにあります。
途中式を書いていくことで、正解に近付いていきます。
そして、正解にたどり着くという目的を理解するためには、実際に手を動かすことが大事です。
「途中式を書きなさい」などと言うのではなく、体で覚えるということです。
途中式を書かない原因や、途中式の目的、途中式を書けるようになる方法について、具体例を交えて述べていきます。
この記事の主な対象
- 「子どもが途中式を書いてくれない…」という方
- 「途中式を書く目的を知りたい」という方
- 「どうすれば途中式を書くようになるんだろう…」という方
なぜ途中式を書かない?
そもそも、途中式を書かないのはなぜでしょうか。
家庭教師のマッチングサイトでも、「面倒くさがりで途中式を書かない」というような書き込みを見たことがあります。
途中式を書かない理由は、「面倒くさいから」なのでしょうか。
そもそも、「面倒くさいから」という理由で特定の行動を避けることがあるでしょうか。
身近な例で考えてみましょう。
例えば、ゴミ出しを面倒くさいと感じる方はいらっしゃるでしょう。
しかし、「面倒くさいから」という理由でゴミ出しを避けていると、ゴミが山積みになってしまいます。
ゴミが山積みでは困ると思えば、面倒くさいと思ってもゴミ出しをするはずです。
つまり、面倒くさいと思ったとしても、必要性を実感していれば、ゴミ出しをしますよね。
また、仕事に行くのが面倒くさいと感じる方もいらっしゃるでしょう。
仕事に行かないと、生活が維持できなかったり、他人に迷惑をかけたりします。
それでは困ると思えば、面倒くさいと思っても、仕事に行くはずです。
面倒くさいと思ったとしても、必要性を実感していれば、仕事に行くということです。
必要性を実感していれば、「面倒くさいから」という理由で特定の行動を避けることはありません。
途中式についても、同じことが当てはまります。
途中式を書くのが面倒くさいと思ったとしても、必要性を実感していれば、途中式を書くはずです。
途中式を書かない理由は、「面倒くさいから」ではありません。
途中式を書かないのは、「何をどう書けばよいか分からないから」でもありません。
普段も塾の授業などで、先生の途中式を見ているはずです。
先生の途中式を見ても書かないのは、「書き方が分からないから」ではありません。
書き方を分かったとしても、必要性を実感していなければ書きません。
反対に、必要性を実感していれば、雑ではあっても途中式を書くはずです。
途中式を書かない理由として最も重要なのは、「必要性を実感していないから」です。
必要性さえ実感すれば、面倒くさいと思ったとしても、途中式を書くようになっていきます。
もし途中式を書かない理由が「面倒くさいから」であれば、「途中式を書きなさい」と叱るのも一つの方法かもしれません。
しかし、「途中式を書きなさい」と叱るのでは、必要性を実感することがありません。
仮に途中式を書けるようになったとしても、書く理由が「叱られるから」になってしまいます。
途中式を書く理由がずれていると、適切な途中式を書けるようにはなりません。
途中式を書く必要性を実感してもらうことが重要です。
途中式を書く必要性とは?
途中式とは、どのように計算したかを「説明するため」に書くものではありません。
途中式は、「正解にたどり着くため」に書くものです。
結果的に正解にたどり着いたときに、「途中式」になるのであって、最初から「途中式を書こう」と思って書くものではありません。
「書いていくことによって、自然に正解に近付いていくこと」が、途中式の重要な役割です。
途中式を書くことは、正解に近付くための「手段」であり、途中式を書くこと自体が「目的」ではありません。
途中式を書くことによって、自然に正解に近付くからこそ、途中式を書くわけです。
途中式を書けるようになる方法
途中式を書けるようになるためには、途中式を書く必要性を実感させる必要があります。
必要性を実感するためには、実際に手を動かすことが重要です。
手を動かすというのは、言い換えると、「式を書きながら考える」ということです。
それも、他人が見ても分かるように書くことが大事です。
とはいえ、他人が見て分かるのも、手段の一つにすぎません。
あくまで、途中式の目的は「式を書くことによって正解に近づくこと」です。
途中式の目的を考えると、式を書かなくても正解にたどり着ける場合には、書く必要がないとも考えられます。
確かに、基本的な問題であれば、式を書かなくても解けることがあります。
しかし、応用問題では、式を書かないと解けないことが多くなります。
応用問題になってから式を書く練習をしてもできないので、基本問題から式を書く練習をすることが大切です。
ただし、テストのときは、式を書かなくても解ける問題まで式を解く必要はありません。
そもそも、途中式を書かない子は、途中式を書く目的を知りません。
途中式の目的を知らない状態だと、適切な途中式を書くことができません。
途中式というのは、考える過程で書いていくものです。
例えば、「4×4×3.14=」と書いてから、計算して50.24という数値を求めるのが本来の方法です。
しかし、途中式の目的を知らない状態だと、まず50.24を求めてから「4×4×3.14=50.24」と書く子も多いです。
式を書く→計算する→式を書く→計算する…、と繰り返すことが重要です。
計算する→式を書くという順番では、頭の中で計算して答えにたどり着いたら、一から式を書き直すことになります。
説明のために式を書いているだけで、正解に近付くという目的には役立ちません。
一から書き直すのは無駄な作業ですから、「途中式を書くのが面倒くさい」という原因にもなります。
本来は、途中式を書きながら考えていくものです。
途中式を書いていくことで、結果的に答えにたどり着くものです。
「答え→途中式」という順番ではなくて、「途中式→答え」という順番です。
具体的な問題を作って、式を書きながら考える方法について、述べていきます。
式を書きながら考えるというのは、言い換えると、問題文を読みながら式を書いていくということです。
以下の問題を使って説明していきます。
鶴と亀が合わせて10匹います。
足の数は全部で32本です。
鶴は何匹いるでしょうか。
亀と鶴の単位は便宜上「匹」で統一しています。
面積図を利用する方法もありますが、式だけで解く方法で説明します。
鶴と亀が合わせて10匹という情報だけで、途中式を作ることができます。
「もし10匹すべてが亀だとしたら、足の本数が何本になるか」を求めます。
4×10=40
もし10匹すべてが亀だとしたら、足の本数は40本でした。
実際の本数は32本なので、多すぎることになります。
何本多すぎるのかを求めることができます。
40-32=8
つまり、足の本数を8本減らさなくてはならないということです。
全部が亀として計算しましたが、亀を鶴に変えると、1匹につき足の本数は4-2=2本減ることになります。
亀を鶴に変える作業を何回繰り返すか、これで鶴が何匹かを求めることができます。
8÷(4-2)=4
つまり、鶴は4匹です。
つるかめ算は一つの例にすぎません。
算数の文章題では、一つ一つの途中式を積み重ねていくことが重要です。
一見難しそうに見える問題でも、途中式を書いていくと、自然に答えに近づいていることがあります。
難しい問題であっても、まずは式を一つ書いてみることが重要です。
式を一つ書いてみることで答えに近づくという経験を積み重ねていくことで、少しずつ途中式を書く必要性を実感していきます。
実際に際に手を動かして問題を解く中で、解けることもあれば解けないこともあるでしょう。
私・川口は、家庭教師として以下のような声掛けをよくしています。
- 問題が解けたとき→「この式があったおかげだね。」
- 問題が解けなかったとき→「こういう式があれば解けたのにね。」
例えば、先ほどのつるかめ算の例であれば、
4×10=40
40-32=8
8÷(4-2)=4
という式がありました。
最初の式を書かずに、いきなり40-32=8を書いたとします。
そして、その後「40」が何か分からなくなって解けないことがあります。
というように、途中式の必要性を実感させます。
言葉で途中式の大切さを伝えても、なかなか伝わりません。
手を動かして修正するという作業を通じて、体で覚えることが大切です。
「途中式を書きなさい」などの言葉で、一気に解決することはできません。
時間をかけて、少しずつ体で覚えて、途中式を使いこなせるようになりましょう。
ちなみに、作図も途中式と同じように正解に近付いていく役割があります。
算数の文章題では、面積図や線分図などの図を書くことがあります。
面積図や線分図などの図を書く際は、問題文の数値をすべて書き込むのが大切です。
作図と途中式は、「正解に近づくため」という目的は同じであり、手段が異なるだけです。
作図も途中式も、基本問題から練習することが大事です。
まとめ
算数で途中式を書かない子は珍しくありません。
多くは、「面倒くさいから」書かないのではありません。
「途中式を書く必要性を実感していないから」書かないのです。
途中式の必要性を実感していない子に、「途中式を書きなさい」と注意しても、あまり意味はありません。
途中式の必要性を実感させていくことが大切です。
途中式とは、書いていくことで正解に自然に近づくものです。
正解に近付くために、途中式を書くということを体で覚えることが重要です。
途中式を書けるようになるには、実際に手を動かしながら考えていく作業をしましょう。
途中式を書けるようになるには、時間がかかります。
近道はないので、声掛けなどでできるようにしたいです。
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