中学受験の算数では、様々な分野があります。
いわゆる特殊算と呼ばれるものだけでも、かなりの種類があります。
他にも、図形や数列などのほか、もちろん計算問題などもあります。
「種類が多すぎて、勉強が大変…」と思っている方も多いでしょう。
しかし、算数に様々な分野があっても、全分野に共通するポイントがあるんです。
算数の全分野に共通するポイントは、「定義が出発点」ということです。
定義とは何か、なぜ定義が出発点か、日頃の勉強で何をどう意識すればよいか、を述べていきます。
この記事の主な対象
- 「算数の分野が多すぎて困っている…」という方
- 「解けたはずの問題が解けなくなってしまい、また復習しても同じことになるんじゃないかな…」という方
- 「初めて学習する単元で、何をどう意識すればいいの?」という方
定義とは
まずは、「定義」という言葉の、辞書における意味を調べてみましょう。
1 物事の意味・内容を他と区別できるように、言葉で明確に限定すること。「敬語の用法を定義する」
2 論理学で、概念の内包を明瞭にし、その外延を確定すること。通常、その概念が属する最も近い類と種差を挙げることによってできる。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/定義/
少し分かりにくいかもしれません。
算数における「定義」とは、「用語の意味」ということです。
「定義」という言葉は難しいので、小学生に対しては、「意味」などと言い換えて話すのが一般的です。
用語の意味というのは、いわば算数の世界で共通する言語のようなものです。
例えば、「倍数とは何か」、「公倍数とは何か」、「最小公倍数」とは何か、これが定義です。
定義が頭に入っていないと、問題の意味が分からないということが起こります。
では、具体的に、なぜ定義が出発点なのか述べていきます。
算数はなぜ定義が出発点か
定義を理解・記憶していないのに、解法を覚えるという作業をする人もいます。
しかし、定義を覚えずに解法だけを覚えても意味がありません。
土台を作らずに家を建てても崩れるだけです。
定義の上に解き方があります。
定義さえ分かっていれば、解き方はテスト中に考えればできる場合もあります。
ところが、定義はテストの現場で考えて分かるものではありません。
例えば、「2と3の最小公倍数を求めなさい。」という問題が出されたとします。
「最小公倍数」の意味が分からなければ、問題の意味が分からないということになります。
問題の意味が分からなければ、その場でいくら考えても解くことができません。
実際には、問題文に「最小公倍数」と書かれていなくても、最小公倍数を使う問題もあります。
「最小公倍数」の意味が分からなければ、どういうときに最小公倍数を使うかも分かりません。
問題を見ていくら考えたとしても、頭の中から最小公倍数を引き出すことができません。
さらに、例えば「横2cm、縦3cmの切手を並べて正方形を作ります。切手は最低何枚必要でしょうか。」という問題を考えてみます。
切手を並べるということは、縦は2cmの倍数、横は3cmの倍数になります。
正方形を作るということは、倍数が同じになるということです。
倍数が同じになるということは、公倍数ということです。
「最低」何枚ということは、公倍数で一番小さい数、つまり、最小公倍数を求めるということです。
定義を理解していると、「最小公倍数を求めよう」と考えることができます。
一方、定義を理解していないと、「最小公倍数を求めよう」というところにたどり着きません。
定義が出発点なんです。
もちろん、定義は最小公倍数に限りません。
「速さって何?」、「分速って何?」、これらも定義です。
「ひし形って何?」、「弧って何?」、図形でも同じです。
定義を尋ねられたときに、正確に即答できることが望ましいです。
定義を理解・記憶していない段階で、解法だけを覚えても、「解き方をすぐ忘れる」ということになります。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
日頃の勉強で意識すること
一度学習したことのある単元と、初めて学習する単元に分けて説明していきます。
一度学習したことのある単元
一度学習したことのある単元で、基本的な問題が解けない場合は、定義を理解・記憶していないことを疑ってみましょう。
例えば、速さの定義を理解していたら、「速さ×時間=道のり」というのは必然なんです。
もし、「道のりの求め方が分からない」などということがあれば、速さの定義を理解・記憶していないことを疑います。
速さの定義を理解・記憶していないという疑いがあれば、「速さって何?」と尋ねてみましょう。
もし答えられなければ、定義からもう一度学習し直す必要があります。
定義が答えられるのに、 「速さ×時間=道のり」 が必然と思えない子もいます。
そうであれば、「掛け算ってどういうときに使うの?」というところまで戻りましょう。
速さができないのは、そもそも掛け算を理解していなかったことに原因がある、というのは驚くことではありません。
掛け算を理解していなかったことに落ち込む必要はありません。
むしろ、「速さを通じて、掛け算を理解できていなかったことに気付けた」というメリットが大きいです。
「速さ×時間=道のり」 は、定義を理解・記憶していたら必然なので、いわゆる「はじき」や「はじみ」は必要ありません。
しかし、定義を理解・記憶したうえで、「はじき」や「はじみ」を補助的に使うのは、一つの方法とはいえます。
初めて学習する単元
初めて学習する単元でも、もちろん定義が重要です。
解き方を覚えるのではなく、まずは定義を理解することが重要です。
ところが、塾の授業を受ける際に、定義の説明は聞き流して、解き方だけを覚えようとする子もいます。
解き方だけを覚えて、できるようになった気になる気持ちも分かるので、仕方ない面もあります。
解き方だけを覚えようとしてしまう子には、問題を解いた際に「速さって何?」などと尋ねましょう。
「速さって何?」に答えられなければ、定義に戻って復習すれば問題ありません。
「定義を答えられない→定義に戻って復習」という作業を繰り返すうちに、授業の受け方も変わってくるかもしれません。
定義の説明も授業でしっかりと聞いてくるようになれば理想的です。
まとめ
中学受験の算数の全分野において、定義が出発点です。
定義とは、用語の意味です。
用語の意味を理解・記憶したうえに、解き方があります。
簡単な問題であっても、難しい問題であっても、まずは定義が出発点です。
算数の新しい単元を学習する際に、定義を理解・記憶することが望ましいです。
定義を理解・記憶していれば、少なくとも基本的な問題が解けないということは起こりにくいです。
反対に、基本的な問題が解けないということは、定義が定着していないという疑いがあります。
「速さって何?」などと問いかけ、穴がみつかれば定義に戻って勉強していきましょう。
定義に戻る勉強をしているうちに、定義が重要ということを体で覚えてくるかもしれませんね。
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